ショウガの栽培(暖地)

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Ⅰ.導入に当たっての基礎データ

1.作物の特徴

・熱帯性の野菜であり高温多湿を好む。
・塊茎は休眠せず 18℃以上になると芽が動き始め萌芽する。
・生育適温は 25 ~30℃の高温性作物で15℃以下では生育は停止し,塊茎は10℃以下(13℃以下)で腐敗する。
・ショウガは根群が貧弱で少ない
・乾燥を嫌い、多湿を好み、土壌水分が不足すると肥大が止まり著しく減収する。かん水効果の非常に高い作物であり、かんがい施設の整備されたほ場が適する。

2.作型

・暖地では、4月上旬~5月上旬植え付け、10月下旬~11月中旬収穫の露地作型が一般的である。

3.反収および単価

・反収は、10a当たり2,600kg程度である。
・単価は、1kg当たり520円~764円、平均613円である。

4.労働時間

・10a当たりの労働時間は470時間で、定植と一般管理の作業が多い。

5.必要な種子量

・10a当たり300~400kg程度必要である。
・種子代は、購入種子の場合1kg当たり1,000円、自家産の場合1kg当たり320円(見積もり)程度を見込む必要がある。

Ⅱ.栽培技術

1.畑の準備

(1) 適土壌と基盤の整備
・土壌の適応性は広いが、腐植に富み肥沃で保水排水の良い砂質壌土が最も適する。
・台風被害回避のために防風ネットやソルゴー等で防風垣の設置をする。
(2) pHの矯正と土壌改良
・pH5.5~6.0を目安に苦土石灰などを全面に散布し耕耘する。
(3) 堆肥の施用
・ショウガは、地力窒素で作る作物で、耕土が深く腐植の多い、保水性と通気性のよい土壌が適するので、定植の1ヶ月前までに、有機物資材として良質堆肥・稲ワラ等を10a当たり3t程度投入し、20cm以上耕起して土とよく混和しておく。
(4) 輪作
・連作障害回避のために4年以上(できれば6年以上)の輪作体系が望ましい。
・短期輪作または連作の場合は、土壌消毒を実施する。

2.施肥

・養分吸収量は、収量1t当たり、窒素2.6kg、リン酸1.2kg、カリ10.4kg、石灰1.6kg、苦土1.0kg、ケイ酸3.0kgで、一般の野菜と比べてカリとケイ酸の吸収量が多いことが特徴である。
・10a当たり基肥で、窒素12kg、リン酸25kg、加里12kg施用する。
・植え付け2週間前に施肥を行い、畦をたてておく。
・追肥は4回に分けて、窒素10kg、加里10kg施用する。

3.植え付け

(1) 品種
・小ショウガに金時、谷中、中ショウガに三州、近江などがある。
・鹿児島県では、大しょうがが使用されている。
(2) 種子の準備
・種ショウガの良否が生育、収量に大きく影響するので、病害虫のない種ショウガを選別し植え付ける。
・種ショウガは大きい程生産力は高いが、分割断面の変色したものや系統上小型のものは除き、大しょうがでは80~100g程度の大きさに分割し利用する。
・10a当たり3,500~4,000株植えで300~400kg必要となる。
(3) 種子消毒
・根茎腐敗病の種子消毒法として有効な方法として、温湯消毒(45℃・30分または50℃・10分)があるが、温湯処理を行える機械が1回当たり30kg程度の処理能力なので、手間がかかる難点がある。
(4) 植え付け方法
・植付け時期は、4月上旬~5月上旬で、地温が18℃になる20日前頃が適期である。
・早植えすると低地温で種ショウガの腐敗を招く(地温が15℃以上にならないと芽が伸びださない)。
・種ショウガの芽を上に向けて植えつける。
・覆土は5~6cmが望ましい。覆土が深いと塊茎が長脚となり不整形になりやすい。
(5) 栽植密度
・畦幅60cm×株間30cmの1条植え、10a当たり5,500株または畦幅200cmで排水溝をつくり、条間80cmおきの株間30cmの横ガンギ式に植える。
・畦幅60cm(1条植え)または120cm(2条植え)で、水田の場合は高畦に、畑の場合は低畦にする。

4.管理作業

(1) 除草
・植付け後、地表に萌芽してくるまで少なくとも30日間を要するので、この間の雑草の発生に悩まされることが多い。
(2) 追肥および土寄せ
・植付け後、降雨で種ショウガが露出したら除草を兼ねて軽く土寄せを行う。
・1回目の追肥・土寄せは、1次茎が25cm程度伸び、2次茎の出始めた頃に、追肥と2~3㎝程度の土寄せを行う。
・2回目は1回目の20~30日後に 追肥と十分な土寄せを行う。
・土寄せは、塊茎の肥大と品質向上のために大切な作業で、3~4cmずつ2回程度行う。
・遅い時期の中耕、土寄せは根を傷めるので避ける。
(3) 敷わら
・土寄せが終ったら地表面が見えない程度に厚く敷き、乾燥対策と緑化防止対策を行う。
・敷わらは、麦わら、稲わら、刈り草など何でも良く、畦幅全体に広く敷き詰める。
(4) かん水
・6日ごとに20~30mmを基準にかん水する。
・10月以降のかん水は行わない。
(5) 防風対策
・干ばつと同様、風に対しても被害が大きいので、防風ネットを周囲に設置する。

5.主な病害虫と生理障害

・注意を要する主な病害は、根茎腐敗病・青枯病・紋枯病・腐敗病・白星病などである。なかでも根茎腐敗病は致命的な被害を与えるので、無病種子を使用し、計画的な輪作が必要である。
・注意を要する主な害虫は、アワノメイガ・イネヨトウ・センチュウ・ネキリムシなどである。
・主な生理障害は、などである。

6.収穫

(1) 収穫適期
・軽い霜でも葉先が枯れ塊茎が凍害を受けるので、収穫時期には注意が必要である。
(2) 収穫方法、貯蔵方法
・収穫後は塊茎が乾燥しないうちに出荷および貯蔵する。
・貯蔵の適温は12~16℃で、18℃以上では発芽し、10℃以下では腐敗する。湿度は90~95%を保つように管理する。