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Ⅰ.キュウリの概要
1.キュウリの導入
(1) 栽培面での特徴
・病害虫を防除し、整枝や摘葉を適切に行えば、生命力が強いことから長期どりが可能な作物である。
・栽培面でのポイントは、初期の根張りを確保することと、収穫量に合わせた追肥を行い樹勢の維持を図ることである。
(2) 経営面での特徴
・作付面積、収穫量とも減少傾向にあるが、栽培のコツをつかめば多収が可能で、収益性の高い作物である。
2.来歴
・キュウリは野生種が発見されないので、原産地は不明の点があるが、近縁の野生種が存在するインド側のヒマラヤ南麓地帯(シッキム地方)の原産といわれている。
・インドでは少なくとも3000年以上前には栽培されていて、西アジアでも紀元前に定着していたと考えられている。
・その後、東に移動して中国型のキュウリができあがり、西に移動してヨーロッパ型のキュウリとなった。
・ヨーロッパに伝わったのは14世紀頃になってからとされている。
・日本へは、中国を経由して10世紀頃(一説には6世紀頃)には渡来していたが、しばらくの間は重要視されなかったらしく、シロウリやマクワウリの方が評価されて先に定着したようである。
・農業全書(1697年)には、「黄瓜の名は胡瓜、是下品の瓜にて(中略)都にはまれなり」という記述があり、当時はまだ地方でしか栽培されていなかったことがうかがえ、栽培が盛んになったのは江戸時代後期になってからである。
・キュウリが野菜の中で現在の位置にまで普及したのは、第二次世界大戦後のことで、品種改良が進み、国民の食生活も変化したのに加えて、ビニールハウス栽培などが普及し、作型が多様化して周年栽培が可能になったことによるものといわれている。
・キュウリには、中国の南方地帯から伝来した黒イボ系と、北方地帯から伝来した白イボ系がある。
・昭和30年代の終わり頃から、育種メーカーの品種改良競争が始まり、早春の促成用から露地栽培夏秋用の品種まで、すべて白イボの品種が完成し、作りやすく食味も良くなった。
・昭和50年代からは、消費者によるブルーム敬遠を背景に、ブルームレス台木の接ぎ木栽培が全国的に広まった。
3.分類と形態的特性
(1) 分類
・ウリ科キュウリ属のつる性一年草である。
(2) 根
・キュウリの根は地表近くに多く発達しあまり深くまでは張らないため、乾燥には弱い野菜である。
・根は大部分が地下15~30cmに分布し酸素要求量が多く、滞水および乾燥に弱い。
・根の再生力が極めて弱いので、接ぎ木が適している。
(3) 葉
・葉の光合成能力は展開後10~35日までは高く、生長点から5~30葉がメインである。
・光合成は午前中に70%行い、日没5時間後までに光合成産物を転流する。
(4) 花と果実
・キュウリには雌花と雄花があるが、受粉、受精をしなくても実が肥大する性質(単為結果性)がある。この点が同じウリ科のカボチャやスイカと異なる点である。
・キュウリは同じ節に2個以上の花が咲くことがあるが、どちらかが先に大きくなり、そのキュウリが収穫されると次の実が大きくなる。
・キュウリが主枝に付く性質を節成性と言うが、節成性が強いほど収量が多くなる。
・日照が少なくなったり、低温になった時は自分で実を落とす(生理落果と言う)が、天候が回復すればまた実を付ける。
(5) 葉、花芽、側枝の分化状態
・子葉展開時:葉のみ4枚分化している。
・本葉1枚展開時:葉は12節まで分化し、3~6節目の花芽が分化しているが性(雌花・雄花)の決定はまだしていない。側枝は3~6節目までに発生し、早いものは5枚の葉が分化している。
・本葉2枚展開時:葉は17節目まで分化し、花芽は性分化が始まっている。側枝は2~7節目までに分化している。
・本葉4枚展開時:葉はすでに24枚分化して、早いものは12節目までの花芽に性分化が行われている。側枝は12節目まで発生し、3節目の側枝では9枚の葉が分化している。
4.生育上の外的条件
(1) 温度
・発芽適温25~30℃ (発芽限界15~40℃)、生育適温18~25℃ (10℃以下や35℃以上で生育が止まる)、最適地温20~23℃ (12℃以下で生育が劣るため、15℃以上必要)。
・高温を好む野菜で,低温下では生育が妨げられるが、日本の盛夏期は、キュウリにとってはむしろ高温すぎる。したがって,自然環境下で栽培しやすいのは,春から夏にかけてである。
(2) 水分
・空気湿度が高い方が茎葉や果実の生産が良好となる。
・好適湿度は昼間が70~80%、夜間が90%程度とされている。
・キュウリは浅根性で乾燥にはやや弱い作物である。
(3) 光
・光飽和点(光量)は4~6万ルクスで、光量が不足すると側枝の発生不足や曲がり果が増加する。
・キュウリはトマトほどには強い光を必要としないが、光が不足すると収量や品質が低下する。
・葉が重なりあって採光が悪くなる場合が多いので、こまめな摘葉作業が必要になる。
(4) 土壌
・有機物と土壌水分が十分であれば、砂壌土や埴壌土でもよく生育する。
・土壌酸度は弱酸性を好む。
5.品種
・北海道で作られているキュウリの主な品種は次のとおりである。
(1) オーシャン(埼玉原種)
・果色の緑が極めて濃く、光沢も良好な道内の主力品種。
・ハウス半促成からハウス抑制に適するが、やや低温肥大性が劣るので盛夏期の生産が多い。
・草姿は徒長しにくく、成り戻し性が強く、収量性は初期より安定している。
・100g果で21cm程度、果肉は良くしまり、食感が良い。
(2) オーシャン2(埼玉原種)
・オーシャンの色、ツヤ、果形の良さや美味しさはそのままに、後半のスタミナを強化した品種。
・秀品の収量が高い。
(3) プロジェクトX(ときわ)
・草勢強く、ブルームの発生が比較的少ない品種。
・暑さに強く(芯焼け・葉焼けが少ない)、葉が小さく、抑制栽培に向くため、秋の出荷が多い。
・果実は22cm程度の円筒形で果揃いよく、曲り等の発生が少ない。
・果肉は中位の厚みでしまりがあり、歯切れがよく、食味は良好である。
(4) くろさんご(サカタ)
・食味がよい四葉(すうよう)系品種。
・他の品種に比べとげが大きく、果実表面のしわも深い。
6.作型
・北海道での主な作型は次のとおりである。
(1) 促成
・1月中旬~2月上旬は種、2月下旬~3月中旬定植、4月上旬~7月下旬収穫
(2) 半促成
・3月上旬~3月中旬は種、4月中旬~4月下旬定植、5月中旬~8月中旬収穫
(3) ハウス夏秋どり
・4月上旬~5月上旬は種、5月上旬~6月上旬定植、6月上旬~11月上旬収穫
(4) ハウス抑制
・6月下旬~7月上旬は種、7月下旬~8月上旬定植、8月下旬~11月中旬収穫
Ⅱ.キュウリの栽培技術
1.播種・育苗
(1) 播種
1) 播種床の準備
・播種床は、粒状園芸培土等の人工培土を使用する。
2) 播種量
・播種量は、定植株数の2割程度多く準備する。
3) 催芽
・穂木のキュウリは2~3時間、台木のカボチャは3~4時間水につけ、その後種子を濡れた布で包み、ビニールの袋などに入れ25℃前後で12~14時間保ち、芽が切れた状態にしてから播種する。
4) 播種日
・播種日は穂木と台木の播種日は接ぎ木方法によって決めるが、呼び接ぎの場合、穂木のキュウリの播種日から2~3日後(または、キュウリの出芽始めに)台木のカボチャを播種する。
5) 播種の方法
・播種の方法は、発芽してくる子葉がぶつからずそれぞれが平行になるよう条と直角にまく。
・穂木は条間6cm×種子間3cm、台木は条間8~9cm×種子間4cm程度とする。
・覆土は穂木は5mm、台木は8mm程度とする。
6) 播種後の管理
・発芽までは、ぬれ新聞などで覆って乾燥を防止する。
・穂木は徒長しやすいので早めに新聞を除去するが、台木は胚軸が短い場合やや遅らせて除去する。
・発芽までの地温は23~28℃(最適25℃)を確保し、一斉発芽を心がける。
・発芽後は徐々に地温を下げ、子葉展開後は20℃前後とし、接ぎ木の2~3日前からは控えめの水分管理で胚軸が太くしっかりした苗に仕上げる。
(2) 接ぎ木
1) 呼び接ぎ
・呼び接ぎは台木、穂木とも根をつけた状態で接ぎ木するので、活着までの管理が容易で活着率が高い。
2) 呼び接ぎの実施時期
・呼び接ぎは、台木の第1本葉が500円玉大になった頃に行う。
・この時、穂木の第1本葉は方向性がわかる状態であればよい(細くても若い方が融合しやすい)。
・接ぎ木時の胚軸長は穂木で7cm、台木で5~6cm程度が作業しやすい。
3) 呼び接ぎの手順
①カミソリの刃を4mmくらい出す。
②台木(カボチャ)の生長点を子葉の両側から、カミソリの柄の尻を使って取る。
③台木のうぶ毛を軽くカミソリで取って、子葉カーブの外側の軸を斜め下方に切り下げる。
④穂木(キュウリ)のうぶ毛を取って、本葉側を生長点から1cm位の位置で斜め上方に切り上げる。
⑤台木と穂木の切断面をかみ合わせ、台木の子葉の上に穂木の子葉が重なるようにして、接ぎ木クリップで穂木側から押さえるように挟む。
⑥接ぎ木後速やかに、台木と穂木を2cm程度離して鉢上げをする。
(3) 育苗
1) 育苗用土
・育苗用土は、ポットフミンなどの園芸培土を用いる。
・10.5cmポットでおよそ0.76㍑、12cmポットでおよそ0.92㍑の培土が必要となる。
・自分で作る場合は、有機質を多く含み気相が多く通気性に優れ排水性のよい無病の山土と完熟堆肥を1:1の比率で混合し、pH6.0~6.5に調整する。
・肥料は、培土1㍑当たり成分量で窒素150mg、リン酸500mg、カリ150mg程度(例:培土1,000㍑当たりS121・1.5kg+重焼りん・0.6kg)施用する。
2) 育苗容器
・育苗期間に合わせてポットの大きさ(10.5~12cmサイズ)を決める。
・鉢上げ用のポリポットは用土を詰めてかん水しておき、あらかじめトンネル内に入れて地温を上げておく。
3) 接ぎ木後の管理
①接ぎ木当日は遮光資材をし、温度、湿度とも高めにし、活着を促す。
②2日目からは日中、高温になりすぎたり太陽光線が強い場合遮光をし、なるべく外気に慣らすようこころがける。
③3日目からは日中の高温時のみ軽い遮光をする。多少のしおれは気にせずに管理をする。必要以上の遮光をするなど過保護に育てると軟弱徒長の原因となる。
④4日目からは遮光をしなくてもしおれないような管理を行う。換気をし、外気に慣らすことが良い苗を作る条件である。
4) 穂木の切断
・接ぎ木後7~10日目頃、数株の穂木の胚軸をつぶして活着具合の確認を行う。
・萎れなければ、翌日~2日後に全株の接ぎ木部位のすぐ下の穂木の胚軸を切断する。
・切断は晴れた日の午後が適する(ただし、強日射下は避ける)。
5)苗のずらしとかん水
・ポットの下から根が出てきたら、ポットのずらしを行う。
・また、葉が重なってきたら鉢を広げ、徒長を防ぐ。
・かん水は午前中に行い、夕方までに鉢の表面がやや乾く程度とする。
・定植7日前頃からかん水量を控えめにし、やや低めの温度管理で苗を順化させる。
・本葉3葉程度で定植する。
2.畑の準備
(1) 適土壌と基盤の整備
・キュウリの根は酸素、水分を好むので、定植前に完熟堆肥(10a当たり3t以上)やなたねかす、骨粉などの有機質資材を十分に施用するとともに深耕し、保水性、排水性をよくしておく。
・これにより根群分布が広くなり、乾燥、過湿に対する抵抗力が高まる。
(2) pHの矯正と土壌改良
・好適pHは6.5前後なので、あらかじめ苦土石灰などで改良しておく。
3.施肥
(1) 肥料の吸収特性
1) 総論
・養分吸収量は10a当たり窒素21kg、リン酸13kg、カリ47kg程度といわれている。
2) 窒素
・基本施肥量は10a当たり窒素20kg(10+5+5)であり、好適塩類濃度は、EC1.0mS/cm程度でその適応幅も狭い。
・土壌の無機態窒素含量は定植時20~25mg/100g、栽培期間中は10~15mg/100gを維持すべきとされている。
・実際の窒素施肥に当っては土壌中の残存窒素含量に対応し、土壌中の無機態窒素含量15mg/100g以下は窒素10kg/10a、15~20mg/100gは5kg/10a、20mg以上は無施用とする。
・ハウス栽培における硫酸根肥料(硫安、硫加など)の使用は濃度障害を招きやすいので、無硫酸根肥料(塩安、尿素、燐安など)を主体とした施用が望ましい。
3) リン酸
・キュウリは、果菜の中では窒素やカリの吸収量が少ない割にリン酸の吸収量が多い。
(2) 施肥設計
1) 考え方
・収穫が始まると吸収した養分量の約半分が収穫した果実によって植物体の外へ持ち出されるので、基肥は肥効の長持ちする緩効性のものを用い、追肥は回数を多くし、後半肥料切れさせないようにコンスタントに肥効を効かせる。
・ロング肥料を使用する場合は、被覆肥料を70~80%、スターターとしての速効性肥料を20~30%組み合わせて施用する。
2) 施肥設計(例)
ハウス夏秋どり
区分 | 肥料名 | 施用量 (kg/10a) |
窒素 | リン酸 | カリ | 苦土 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
基肥 | S009E | 100 | 10.0 | 20.0 | 9.0 | 3.0 | ・追肥分をあらかじめロング肥料で施用しておく ・実際の追肥」は草勢をみながら液肥で補う |
S121 | 50 | 5.0 | 10.0 | 5.0 | 1.5 | ||
エコロング413(100日) | 35 | 4.9 | 3.9 | 4.6 | |||
エコロング413(140日) | 35 | 4.9 | 3.9 | 4.6 | |||
合計 | 220 | 24.8 | 37.7 | 23.1 | 4.5 |
4.定植
(1) 定植準備
1) 畦立て、マルチ
・定植時期は、低温期に当たるので、初期生育の確保のため地温管理が重要となる。
・地温確保のためにも高めのベッドを作り、定植前に十分かん水し、地温を20℃に高めておく。
2) 栽植密度
・畝幅180cm×株間60~75cm、740~930株/10a程度とする。
(2) 定植
1) 苗の状態
・本葉3枚程度で、鉢に根が回った頃に定植する。
2) 定植の方法
・定植は晴天日の午前中に行う。
・定植の2~3時間前に鉢に十分かん水し、定植時に根鉢が壊れないようにする。
・アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類の被害を防ぐために、定植時に土壌施用粒剤を植え穴に施用する。
・定植後は、株元にかん水し、鉢土を本ぽ土壌になじませる。
5.管理作業
(1) 温度管理
・定植後活着まで地温を18~20℃に管理する。
・昼間の気温はやや高めとし、27~30℃を換気の目安とする。
・その際、施設内湿度が低いと日中に葉焼けを起こすので注意する。
・夜温は16~18℃を確保する。
・活着後は徐々に温度を下げ午前中は25~28℃、午後は23~25℃、夜間気温はつる上げの頃から12~13℃になるように下げていく。
・前夜間と早朝は15~18℃を目安に管理する。
・地温は最低15℃を確保する。
(2) かん水管理
・キュウリのポット苗定植栽培では、かん水は4つの時期に区分して考える。
1) 定植前
・定植5日くらい前までに、うねの心まで十分なかん水を終えておく
2) 活着期
・定植してから7日間くらいは、株元に1回約500mlを7日間に3~5回かん水する。
・水を垂直方向へ浸透させるつもりで株元だけにかん水することによって、定植前のかん水で形成させておいた毛管連絡を伝わって、数本の根が下層に導かれる。
3) 活着から収穫開始期
・活着から収穫開始までの期間はかん水を制限して、活着期に下層に導いた数本の根を活躍させるようにする。
・極端に萎れるような場合は、株元を中心に少量のかん水を行う。
・活着後10日間かん水を完全に中断する管理法もある。
4) 収穫開始期以降
・収穫が始まると果実肥大の負担が株にかかるとともに株の蒸散量が急速に増えるので、それまでの徒長や過繁茂の心配から、水不足を心配する水管理となる。
・キュウリは十分な収量をあげるためには十分な水が必要であるが、限られた根しか下層域に達していないので、1回当たりのかん水量が少なすぎると、畝の中層から上の部分で乾湿を繰り返し、下層の天然供給域とのつながりができずに根が弱り、曲がり果や尻細果の発生が絶えなくなる。
・したがって1回のかん水量を5mmくらい(10a当たり5tくらい)の比較的まとまった量とし、下層の天然供給域とのつながりをもたせる。
・通路が湿った状態がつながりのある状態で、白いままだとまとまった量のかん水を考える必要がある。
(3) 整枝
・主枝は、倒伏したり巻きづるがからみあわないうちに早めに誘引(つる上げ)する。
・つる上げ後は、生育を見ながら地際から30cm前後(主枝5~7節程度)までを目安に一次側枝(2本仕立ての場合は、6~7節からの側枝を1本仕立てる)と雌花を除去する。
・主枝の摘芯位置は、20~25節とする。
・下位節は1~2節、上位節は2~3節で摘芯する。
(4) 敷きわら
・本来、キュウリはつるを伸ばしながら地面を這って生育し、葉が展開するとその下に浅い根を伸ばして養水分を吸収する、地這い栽培に適した作物である。
・経済性を優先した立体栽培は、葉の下に根を伸ばす地這い栽培とは違って乾燥や過湿などの影響を受けやすく、根が傷んで生育が悪くなりやすい。
・そこで、キュウリの株元に敷きわらを敷いて根を保護し、丈夫に育てるとよい。
・敷きわらは、地面がやや見える程度に薄く敷くのがポイントである。
(5) 草勢判断
1) 本葉5~7枚展開時の診断指標
・展開した本葉が大きくて波打っているか。
・巻きひげが太く長く伸び、緑色鮮やかで、先端の方が巻いているか。
・心が大きく、展開してくる何枚もの葉が生長点を包み込むようにしているか。
・下節位の節間長、茎の色、太さはどうか。
・開花は遅い方がよいが、開花した花弁の色は鮮やかな黄色で、萼は緑色で大きいか。
・以上でない場合は、草勢が弱いと判断する。
2) 雌花の開花始期(本葉10~12枚展開期)
・花弁の大きさと色、萼の状態はどうか。
・主枝上の雌花の開花節位や開花の状態はどうか。
・主枝への節成り性はどうか。
・雌花が小さかったり、早くから開花してきたり、開花節位が生長点に近い節位である場合は、草勢が弱いか、果実の肥大とともに草勢が急に弱くなることを示唆している。
3) 主枝の摘心期
・心の大きさはどうか。
・上位展開3枚くらいから生長点に向けて、茎が急に細くなっていないか。
・雌花の開花位置や開花の状態はどうか
・収穫果実の形状はどうか。
(6) 追肥
・基肥の量や生育にもよるが、1回目の追肥は第1果が肥大し始めた頃に窒素成分で1~2kg/10aを目安に行う。
(7) 樹勢のコントロール
・栄養生長が過多で過繁茂の生育をしている場合、かん水を控え摘葉を少し強めに行い採光や通風をよくし、生殖生長を促すとともに着果した果実はやや大きめで収穫する。
・雌花の開花肥大が平常に戻ったら、慣行の管理に戻す。
・通常の範囲で生育が良好な場合、10a当たり150kgくらいの収穫量が目安で、これより多いときは追肥やかん水を怠らず、その後の落ち込みをなるべく少なくするように管理する。
(8) その他の栽培技術
・風に対して比較的弱い作物なので、防風対策を行う。
・また、養水分の欠乏に対して敏感に反応し、直接品質・収量に影響する。
6.主な病害虫と生理障害
(1) 病害
・北海道において注意を要する主な病害は、うどんこ病、疫病、果実腐敗病、褐斑病、菌核病、黒星病、黒斑病、炭疽病、つる枯病、つる割病、灰色かび病、斑点細菌病、べと病、モザイク病などである。
(2) 虫害
・北海道において注意を要する主な害虫は、アザミウマ類、アブラムシ類、オンシツコナジラミ、サツマイモネコブセンチュウ、ナスハモグリバエ、ハダニ類、ワタヘリクロノメイガなどである。
(3) 生理障害
・主な生理障害は、肩こけ果、くくれ果、短形果、尻太果、尻細果、流れ果、ブルーム果、曲がり果、落下傘葉、裂果などである。
7.収穫
(1) 収穫適期
・収穫はM規格を中心とし、取り遅れないようにする。
(2) 収穫方法
・収穫・調製作業時には、果実への打撲を与えないよう丁寧に取り扱う。
・収穫後の果実は直ちに冷暗所へ運び、品温を上げないように努める。