キャベツの栽培

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Ⅰ.キャベツの概要

1.キャベツの導入

(1) 栽培面での特徴
・一般にキャベツ栽培では、発芽~育苗にかけての健全苗の高率確保の難しさや、特に夏どりにおける生理障害の発生が問題となっている。
・栽培面でのポイントは、微細で根域が広いキャベツの根の機能を低下させない土壌管理(堆肥の施用、pHの矯正、作土層の確保)を行うことである。
(2) 経営面での特徴
・結球葉野菜の重要品目で安定した需要があるが、タイプや品種が多く、需要に見合った栽培が必要である。
・比較的粗放栽培が可能で、ある程度の省力化が可能な野菜である。

2.来歴

・キャベツの原産地はギリシャやイタリアなどヨーロッパの大西洋・地中海沿岸と考えられている。
・栽培の歴史は古く、古代ギリシアでは、紀元前四世紀にその記録がみられる。
・当時は今のように丸く結球しておらず、「ケール」のような葉キャベツであった。
・ギリシア時代には、食用の他に、ゆでたキャベツを湿布薬として使用していたようである。
・結球型のキャベツが出現したのは、紀元前後だといわれており、この頃はまだ、緩く結球した程度のものであった。
・ヨーロッパで実際に園芸栽培となったのは9世紀頃からで、地中海沿岸でキャベツの原型ができたのが12~13世紀頃、それらが北方に伝わっていく中で、さまざまな品種ができていった。
・ヨーロッパからアメリカやカナダに伝わったのが16~17世紀頃(カナダには1540年頃、アメリカには移民後導入された)で、そこでもまた多様な品種分化が行われた。
・地中海からシルクロードを通って中国に入ったのが17世紀頃、大航海時代に海を伝わって東南アジアから中国に入ったのも、同じ頃だといわれている。
・中国では、北と南で、若干品種構成が変わっている。
・日本へは江戸時代の宝永年間(1704年~1711年)に、食用ではなく観賞用として非結球キャベツ(ケール)がオランダ人により長崎にもたらされた。
・「大和本草」(1709年)に「紅夷菘(おらんだな)」についての記述があり、ここには「味よし」と書かれている。
・その後改良を重ね、江戸時代中期(「本草正正譌・1778年」で牡丹菜、葉牡丹と記載されている)には、すでに葉牡丹(はぼたん)が作られていたようである。
・食用としては、明治時代の初期に、ヨーロッパやアメリカから導入された。
・最初は外国人の居留地などで作られていたが、それが東京や北海道に伝わり栽培が広まった。
・明治末期における全国の栽培面積は約2,000ha程度で、大部分は輸入品種によっていた。
・大正から昭和にかけて、日本独自の品種が育成され始め、昭和10年(1935年)頃には栽培面積も1万haを超えるようになり、重要野菜の1つとして各都道府県や民間で育種が本格化した。
・その後、日華事変や第2次世界大戦の為、生産や品種改良も一時停滞したが、1940年代にサカタのタネから世界初のF1品種「ステキ甘藍」が登場し、1950年に作られたタキイ種苗の「長岡交配1号」によって、栽培品種として大成した。
・現在では、周年栽培を目指した品種育成という観点から、病害抵抗性や品質、用途に適した品種の育成が進められており、日本では、約500品種のキャベツが作られている。

3.分類と形態的特性

(1) 分類
・アブラナ科アブラナ属の多年草で、栽培上は一年生植物として扱われる。
(2) 種子
・無胚乳種子で適湿、適温下では48時間で発芽する。
・発芽能力は通常2年くらいある。
(3) 根
・キャベツの根は深さ50cm、幅100cmに達するが、大部分が比較的表層に分布する浅根性作物である。
・根の酸素要求が高く、比較的乾燥には耐えるが多湿に弱い。
(4) 葉
・葉序は8分の3で、右巻きと左巻きがある。
・早生品種ほど外葉が小さく葉数が多い。
・定植後30~40日、外葉20枚程度で芯葉が結球体制に入る。
・生育するにつれて中の葉はだんだん丸くなる。
(5) 花芽分化
・一定の大きさに達した苗が一定期間低温(平均気温5~9℃で最も感応)に遭うと花芽分化し、その後高温長日で抽苔が促進される。

4.生育上の外的条件

(1) 温度
・生育適温は平均気温で15~20℃で、30℃以上、5℃以下では生育が停滞する。
・耐寒性は極めて強く、-4℃でも凍害を受けない(結球期に入ったものは3℃以上の気温が必要)。
(2) 光
・光飽和度は3~5万ルクス程度で、野菜の中では比較的弱光に耐える。

5.品種

(1) 分類
1) ボール系
・ボール系は、丸玉種で極早生種が春まきに適している。
・小ぶりのボール型で葉に艶があり、巻き込みが密で葉の内部まで緑色をしており、葉が肉厚のわりに柔らかく組織はしっかりとしていて用途としては何にでも使える万能型である。
2) サワー系
・サワー系は、葉質の柔らかい種類でサラダなどに向いており早生種が多い。
・葉に凹凸があり、葉色の緑が鮮やかで光沢がある。
・葉の巻きがゆるく球の内部まで一部緑色となり、みずみずしくて柔らかい。
・春のおいしいキャベツとして人気があるが、寒玉系に比較して耐寒性が劣る。
3) 寒玉系
・寒玉系は、やや扁平で葉質のやや硬いタイプが多く耐寒性が強い。
・葉の凹凸が少なく、やや扁平(だ円)の球になり葉の巻きが硬い。
・シャキシャキとした食感が特徴で、生食の他、煮物やお好み焼きの素材として利用される。
(2) 主な品種
・北海道で作られているキャベツの主な品種は次のとおりである。
1) 楽園(渡辺採種)
・耐暑性、高温結球性のあるサワー系品種で、夏秋どりに適した早生種。
・生育のそろいはよく裂球の発生も少ない。
・草勢は強く、草姿は開張型である。
・1球1.3kg位の濃緑の腰高扁円球で、食味も良好で葉質は柔らかく甘味も有り、生食や炒め物等幅広く使える。
・早春蒔きは変形球になり易いので避ける。
2) 湖月SP(タキイ)
・定植後75~80日で1.6kg程度に達する寒玉系の中生種。
・根張りが強く、生育が旺盛で栽培が容易で肥大が安定し、裂球も遅い
・球色は鮮緑で、気温の下降とともにキャベツ本来のうまみと甘さが増す。
・日もち、輸送性にもすぐれ、産地や作型による品質の差が少ない。
・収穫適期を過ぎた後も肥大が持続し、裂球が遅いので加工業務用に適している。
3) おきな(タキイ)
・夏秋どりの場合、定植後60~65日で1.5kg程度に達する寒玉系の早生種。
・耐暑性、耐病性があり、草勢旺盛で強健に育つので作りやすい。
・玉は鮮緑、尻づまりのよい整った扁円球で玉の肥大が良好。
・結球のしまりがよく、球芯は低い。
・裂球が遅く在圃性にすぐれ、荷傷み少なく貯蔵・輸送性にすぐれ、加工業務用に適している。
・萎黄病に抵抗性がある。
4) 藍春ゴールド(日本農林)
・夏まきで、定植後65日内外で収穫期に達するサワー系の中早生種。
・外葉は濃緑色の丸葉で大きさは中型、立性で密植が可能である。
・玉は結球肥大型に属し、1.4kg内外の丸型で緑濃く裂球も遅い。
・芯は低くよくしまり、肉質は柔らかく甘味があり、食昧がよい。
5) アーリーボール(サカタ)
・定植後60日前後で収穫期となる、春まきに適したボール系の早生品種。
・葉色はやや濃い緑色で生育が早く、一球重は1.2kg程度になる。
・球は正円で芯が短く、かたく締まり、食感はやわらかで風味がよく生食に適している。
・萎黄病抵抗性がある。
6) エックスボール(住化)
・裂球が発生しにくく、在圃性にすぐれるボール系の早生品種。
・球形は標準品種と比べて扁平で、肥大性に優れるが草勢は弱い。
・肉厚で食味が良く、きれいな球形となり、とがり玉の発生は少ない。
7) 涼波(ホクレン)
・播種後80~84日程度で収穫可能なサワー系の早生品種
・草姿はやや立性で草勢はやや強く、石灰欠乏症(芯腐症)等の生理障害に強い作り易い品種である。
・球の形状はやや甲高で尻の凹凸が少なく、結球の色は濃い緑色でしまりに優れている。
・肥大性に優れているので大玉化を避けるため、株間は33cm程度と狭くする。

6.作型

・北海道での主な作型は次のとおりである。
(1) 露地(春まき~初夏まき)
・3月下旬~6月下旬は種、4月下旬~7月下旬定植、6月中旬~11月上旬収穫

Ⅱ.キャベツの栽培技術

1 育苗

(1) 施設・資材の準備
・根がセルの外に伸び出すことを防ぎ根鉢の形成を良くするため、台などの上に置いてエアープルーニング管理とする。
・トレイを載せる架台(ベンチ)は水平に設置し、かん水が均一になるようにする。
(2) 育苗土
・育苗用土は市販の野菜専用培土を使用し、覆土にはバーミキュライトを使用する。
(3) 育苗容器
・育苗日数が25日前後の場合200穴トレイを、25~30日の場合128穴トレイを使用する。
・4月中旬~5月上旬までは128穴トレイを使用する。
(4) 種まき
・は種量は1穴1粒まきとし、出芽を揃えるためは種深さや覆土量を均一にする。
(5) 発芽
・発芽は比較的容易であるが発芽における酸素の要求度が高く、播種後のかん水が多すぎて発芽を損ねる場合があるので注意する。
・発芽の適温は15~25℃(発芽最低温度は4~8℃)なので、夏まきの場合は日中は日よけをし、温度が上がりすぎないようにする。
・好暗性であるので発芽に光は不要である。
(6) 定植までの管理
1) 温度管理
・4月の育苗では、温度保持のために電熱育苗を行う。
・電熱線はトレイの下に敷くことを原則とし、トンネルやベタガケを行って保温につとめる。
・発芽までは不織布などでべたがけし、20℃前後を保ち発芽を確認したら除去する。
・育苗中の温度は日中15~20℃、夜温10~15℃を目安に管理し、25℃以上の高温にならないよう注意する。
・低温期の育苗においては、定植5~7日前からできるだけ外気温に近い温度で管理し、移植に備えて苗の馴化を図る。
・夏まき栽培は、育苗初期が高温条件下となり苗作りには不適当なので、白の寒冷紗や不織布で日よけをして苗作りする。
・ただし、日よけの程度が強いと胚軸が徒長するため日よけは日中だけとし、夜は取り外して夜露に当てるようにする。
2) かん水管理
・は種時はトレイの底から水がしみ出る程度かん水し、は種後は温度の保持と地表面の乾燥防止のためにシルバーポリや濡れ新聞紙などをかけ、乾いたら地表面が濡れる程度に軽くかん水する。
・出芽が始まり地表面が割れてきたら直ちに被覆資材を取り外し、日光に十分当て(日焼けに注意)、地表面をやや乾き気味に管理する。
・かん水は朝行い、夕方日の暮れるまでに地表面が乾燥するように行う。ただし、晴天で気温が上がった日には午後にもかん水する。
・1回のかん水量は1トレイ当たり1㍑を目安とし、特に外縁部に注意しながらできるだけ均一に行う。
・生育後期になると葉が横に広がり水の当たらない苗が枯死する恐れがあるので、底面吸水(どぶ浸け)などを行う。
・定植4~5日前から水切りして苗の順化を行う。
3) 追肥
・セル育苗では培土量が少ないので、育苗中に追肥を行う。
・200穴セルトレイでは播種後15日頃、128穴セルトレイでは20日頃になると肥料が切れてくるので、葉色を確認しながら遅れないように液肥で施用する。
4) 病害虫防除
・苗立枯病や根朽病、キスジトビハムシやアブラムシ、シンクイムシ等に注意する。
・苗立枯病の発生が見られたら、まず水やりを控えて苗床を乾きぎみにした後、農薬を潅注する。

2.畑の準備

(1) 適土壌と基盤の整備
・キャベツの根は微細で根域が広く、通気性を好み耐湿性が極度に劣るため作土を20cm以上確保し、緑肥の栽培や堆肥の十分な施用を行い保水性を高め、深耕による根圏域拡大を図るなど、根の機能を低下させない土壌管理を行う。
(2) pHの矯正と土壌改良
・キャベツは硝酸態窒素を好むことから、硝酸化成作用が盛んになるpH6.0~6.5を目標に矯正を行う。
(3) 堆肥の施用
・キャベツは堆肥の施用効果の大きい作物であるため、完熟堆肥を10a当たり2t以上施用する。
(4) 輪作
・根こぶ病などの土壌病害を回避するために、アブラナ科以外の作物と4年以上の輪作を行う。
・前作には小麦やスイートコーン、えん麦などのイネ科作物の栽培が望ましい。

3.施肥

(1) 肥料の吸収特性
1) 総論
・硝酸態窒素を優先的に吸収し、その後アンモニア態窒素を吸収する好硝酸態窒素作物である。
・生育初期から、ほぼ直線的に養分吸収を増加させる作物である。
・外葉形成初期から十分な生育を確保できる施肥設計が重要である。
2) 窒素
・キャベツは窒素の欠乏による生育量の低下が著しく、一方、過剰症状がでにくいことから、一般に多窒素型の栽培を行う傾向が強い。
・窒素が欠乏した場合、株全体の光沢がなくなり葉色が薄くなり、葉が立性となって株張りが貧弱となる。
・窒素が過剰の場合、外葉面の起伏が大きくなり、結球始期が遅くなる。
・窒素による生育操作は、窒素不足による生育不良時に有効で、施肥時期が早いほどその効果も大きい。
・キャベツは硝酸態窒素の割合が高い方が生育がよく、追肥には硝酸態窒素とアンモニア態窒素を混合したものの収量が高い。
・外葉を大きくしすぎると、玉揃いが悪くなり病害の発生が多くなるので、追肥の時期や量には注意が必要である。
3) リン酸
・生育促進効果を高めるため、有効態リン酸30mg/100gを目標とする。
・リン酸が不足した場合、株全体の生育量が小さく、特に地下部の生育不良が目立つ。
4) カリ
・生育後期にはカリの吸収量が多くなる。
・カリの欠乏は典型的な症状としては現れずらく、生育の抑制や老化葉の黄化などの進行が認められる。
・石灰の要求度が高く石灰の吸収を阻害させない必要があり、水溶性カリよりく溶性カリの施用が好ましい。
5) その他の要素
・結球性野菜であることから石灰の要求度が高く、欠乏すると縁腐症や芯腐症が発生するが、その程度はハクサイやレタスよりは軽い。
・キャベツの栽培には、堆肥から供給されるホウ素量だけでは作物の吸収量に満たないため、ホウ素入りの化成肥料の併用が必要である。
・短期輪作のほ場ではホウ素や苦土欠乏症状、開拓地などでは微量要素欠乏症状が出やすいので、FTEを10a当たり4㎏程度施用する。
(2) 施肥設計
1) 考え方
・あらかじめリン酸や石灰、ホウ素などの土壌改良資材を施用して、初期生育確保と要素欠乏の防止に努める。
・一般的には窒素、カリは60~70%を基肥とし他の要素は全量基肥とする。
・基肥は10a当たりの成分量で、窒素12~16㎏、リン酸18~20㎏、カリ12~16㎏を目安に施用する。
・分肥(追肥)の時期は外葉形成初期が望ましく、球肥大初期以降の追肥は裂球等の品質低下に結びつく。
・特に、高温期では石灰・ホウ素欠乏が出やすいので基肥をやや少なめとする。
・分肥(追肥)を行う代わりに、一般化成肥料とロング肥料を組み合わせた全量基肥施肥でもよい。
2) 施肥設計(例)
春どり①

 区分 肥料名 施用量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 NS262 130 15.6 20.8 15.6 0.0 ・硝酸態窒素含量が高い
・ホウ素含有
・本葉10~12枚(移植後20日頃)までに追肥する
追肥 S444 40 5.6 1.6 5.6 2.4
合計 170 21.2 22.4 21.2 2.4

春どり②

 区分 肥料名 施用量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 NS262 100 12.0 16.0 12.0 0.0 ・硝酸態窒素含量が高い
・ホウ素含有
・追肥は省略
ロング250(70日) 40 8.0 2.0 4.0 0.0
合計 140 20.0 18.0 16.0 0.0

夏どり①

 区分 肥料名 施用量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 NS262 90 10.8 14.4 10.8 0.0 ・硝酸態窒素含量が高い
・ホウ素含有
・本葉10~12枚(移植後20日頃)までに追肥する
追肥 S444 40 5.6 1.6 5.6 2.4
合計 130 16.4 16.0 16.4 2.4

夏どり②

 区分 肥料名 施用量
(kg/10a)
窒素 リン酸 カリ 苦土 備考
基肥 NS262 70 8.4 11.2 8.4 0.0 ・硝酸態窒素含量が高い
・ホウ素含有
・追肥は省略
ロング250(40日) 30 6.0 1.5 3.0 0.0
合計 100 14.4 12.7 11.4 0.0

 

4.定植

(1) 定植準備
1) 畝立て、マルチ
・土改資材や施肥は定植の7~10日位前に施用しておき、砕土整地を丁寧に行い、早春作型ではマルチをするなど肥料の分解と地温、土壌水分の確保につとめる。
・根張りの良否が収量と品質に大きく影響するため、いずれの作型も高畝栽培を原則とする。
・8~9月どりの作型では定植時に干ばつとなることが多いので、定植直前にロータリ掛けを行い、土壌水分のあるときに定植し活着を促進する。
2) 栽植密度
・畝幅 60~66cm × 株間 33~35cm 4,500~5,000株/10a
(2) 定植
1) 苗の状態
・苗は定植の1週間くらい前から、徐々に外気温に馴らしておく。
・定植苗の目安は128穴トレイで本葉3.0~3.5枚、200穴トレイで本葉2.5~3.0枚である。
2) 定植の方法
・定植前日に病害虫防除を行い、十分にかん水してポット内の土が湿った状態で定植する。
・定植深は苗の根鉢上面が隠れる程度の深さとするが、土壌乾燥時にはやや深めとし、土壌と根鉢をよく密着させるよう鎮圧する。
・定植作業は天気の良い日が望ましいが、トレイに直射日光が当たると鉢土が乾燥するので定植までは日陰に置いておく。

5.管理作業

(1) べた掛け
・定植時期が早い作型では抽苔防止、霜害防止や定植時の活着促進、生育促進のためべた掛け栽培を行う。
・ただし、長期間の被覆は日中の高温や日照不足により結球重の不足や収穫時期の遅延をもたらすので、適期に除去する。
(2) 中耕・除草・培土
・除草剤は定植前使用の場合は、薬剤の処理層が根に触れないように注意する。
・定植後粒剤タイプの除草剤を施用する場合は、芯や葉に薬剤が付着すると芯止りや葉ヤケを起こすので、露のないときに注意して散布する。
・除草をかねて中耕を行う。
・中耕は降雨などで硬くしまった土壌をやわらかくし、根の伸長を促す効果がある。
・中耕は遅れると断根や茎葉を痛め軟腐病の原因となるため注意する。
・畝間が外葉で覆われる前に、手取り除草を行う。
・手取り除草時に、根こぶ病り病株は抜き取ってほ場外に処分する。
(3) 追肥
・追肥は10a当たりの成分量で窒素4~6㎏、カリ4~6㎏を目安に施用する。
・追肥の時期については生育初期から肥切れを起こさないように、本葉10~12枚(移植後20日頃)までに行う。

6.主な病害虫と生理障害

(1) 病害
・北海道において注意を要する主な病害は、株腐病、菌核病、黒腐病、黒すす病、黒斑病、軟腐病、根こぶ病、べと病などである。
(2) 害虫
・北海道において注意を要する主な害虫は、アブラムシ類、オオモンシロチョウ、コナガ、ネギアザミウマ、モンシロチョウ、ヨトウガなどである。
(3) 生理障害
・主な生理障害は、カルシウム欠乏症、ホウ素欠乏、マグネシウム欠乏、分球、裂球などである。

7.収穫

(1) 収穫適期
・生育状況を良く観察し、取遅れにならないよう適期に収穫する。
・一般的な判定基準は、外葉がめくれて結球葉が淡緑になって光沢がでてくる時期である。
(2) 収穫方法
・収穫のときには、錆のでないステンレス製の刃物を使用する。
・夏どりの場合は、鮮度保持のために外気温の低い朝どりが良く、収穫後は直射日光を避けできるだけ速やかに予冷施設に搬入する。
・高温期は収穫適期が短く、降雨があると裂球が進むので注意する。
・冬期貯蔵するものは熟度が進みすぎると貯蔵性が低下するので、8分結球程度で収穫する。外葉を3枚程度つけて収穫し、風乾して気温が下がってから貯蔵する。