農薬使用における問題点

1.耐性菌(病害)、抵抗性(害虫)の発現

・栽培現場から見た農薬使用時の大きな問題点として、耐性菌、抵抗性の出現があります。
・それは、農家も関係機関もより高い効果を期待して新しく開発されて普及したばかりの薬剤に頼る傾向があるが、それまでの薬剤と作用機作が異なる新しい系統の薬剤の場合、耐性菌や抵抗性が発達するリスクがどの程度大きいのかわからない場合が多いのです。
・また、新しい農薬が開発されると同じ系統に属する薬剤が次々と開発される傾向があり、これらの薬剤間ではほとんどの場合交差耐性(Aという薬剤に対して耐性菌、抵抗性であれば、同じ系統のBにも耐性菌、抵抗性であること)がみられます。
・さらに、使用者である農家の人にとって農薬名(商品名)が全く異なるため、どれとどれの薬剤が同じ系統なのかわからない場合もあります。

2.防除のタイミング

・栽培現場でしばしば見受けられるのは、病気や害虫がある程度出てから気付くということです。
・この原因は、観察や病気の知識が不十分であったり、気付いていたが防除を遅らせたり(他の作業との競合、農薬の使用回数を減らす目的、薬害の発生を恐れて天候の回復を待つなどの理由)することで起こっています。
・病気や害虫がかなり出てしまってから防除を行うと、病原菌や害虫密度が高いことから耐性菌や抵抗性がより選抜されやすくなり、結果的に防除の失敗を招くリスクが高まります。